このページでは、ロベルト・シューマンの生涯・代表的な曲・動画の紹介をしています。
目次
シューマンってどんな人?

ロベルト・アレクサンダー・シューマン(Robert Alexander Schumann、1810年6月8日〜1856年7月29日)はドイツの作曲家。ベートーヴェンやシューベルトの流れを継承するロマン派の作曲家で、ピアノ曲から交響曲まで幅広いジャンルで作品を残している。
どんな人生だったのか?
シューマンは1810年にドイツで生まれた、ロマン派を代表する作曲家です。幼い頃から文学と音楽の両方に親しみ、豊かな想像力を育みました。
若い頃はピアニストを目指していましたが、指を痛めたことで音楽家への道を断念し、作曲に力を注ぐようになります。その後、優れたピアニストであったクララと結婚し、クララはシューマンの音楽を支える大切な存在となりました。
一方で、シューマンは精神的な不調にも苦しみながら創造を続けました。繊細で内面的な世界を持つ彼の作品には、文学的な想像力や深い感情が込められており、現在でも多くの人々に愛されています。
ロマン派とは?
ロマン派は、19世紀前半から20世紀初頭にかけて栄えた音楽様式です。古典派が形式美や均整の取れた美しさを大切にしたのに対し、ロマン派では作曲家一人一人の感情や個性、自由な表現が重視されるようになりました。
その始まりは、ベートーヴェンの存在が大きく影響しています。古典派の様式を受け継ぎながらも、より豊かな感情表現を追求したベートーヴェンの音楽は、後のロマン派の作曲家たちに大きな影響を与えました。技巧だけでなく、人の心に寄り添うような表現が求められたことも、ロマン派音楽の大きな特徴です。
ロマン派の音楽は感情や情景を自由に表現することを大切にしました。シューマンの作品には、文学的な物語性や豊かな想像力があふれており、一曲一曲がまるで短編小説のような魅力を持っています。
シューマンの音楽の特徴
シューマンは、ロマン派らしい豊かな感情と文学的な世界観を持つ作曲家です。まるで一つの物語を読んでいるような音楽が数多く生まれました。
また、音楽の中にさまざまなメッセージをや象徴を込めることを好んだことも特徴の一つです。妻クララを表わす音型や、自らが創り出した架空の人物「フロレスタン」と「オイゼビウス」、言葉を音名に置き換えたモチーフなど、作品の中工夫が数多く隠されています。
一見すると美しい旋律の音楽ですが、その奥には物語や作曲家の想いが込められており、知れば知るほど新しい発見があることも、シューマンの大きな魅力です。
シューマンの代表曲
謝肉祭(作品9)
全21曲からなる組曲で、謝肉祭(カーニバル)の華やかな世界を描いたシューマンの代表作です。
作品には、情熱的な自分を表す「フロレスタン」、内省的な自分を表す「オイゼビウス」、のちに妻となるクララ(キリアーナ)、ショパンやパガニーニなど、実在の人物や架空の人物が次々を登場します。
また、婚約者の故郷「ASCH」という地名を音名に置き換えたモチーフが作品全体に散りばめられており、文学を愛したシューマンらしい暗号や遊び心が詰まった作品です。
子供の情景(作品15)
全13曲からなる曲集で、有名な《トロイメライ》が収められています。子供のために書かれた作品ではなく、大人になったシューマンが子供の頃の思い出や純粋な心を振り返りながら作曲した作品です。
この作品が書かれた頃、シューマンはクララとの結婚を望みながらも、父親の反対により思うように会うこともできませんでした。そんな時期に生まれた作品と思うと、私には子供の頃を懐かしむ気持ちだけでなく、いつか温かな家庭を築きたいという願いも込められているように感じます。
優しく語りかけるような旋律が続き、まるで大人が子供へ物語を語り聞かせているような、穏やかで温かな世界が広がる作品です。
クライスレリアーナ(作品16)
全8曲からなる曲集で、タイトルの「クライスレリアーナ」の「クライスラーに関するもの」「クライスラーの世界」という意味です。作家E.T.A.ホフマンの小説に登場する架空の音楽家「ヨハネス・クライスラー」に着想を得て作曲されました。
クライスラーは情熱的で繊細な心を持つ芸術家として描かれており、その姿はシューマン自身とも重なると言われています。作品では穏やかな場面と激しい場面が次々と現れ、まるで一人の人物の心の動きや物語を描いているかのようです。
《子供の情景》と同じ1838年に作曲されましたが、こちらはより幻想的で内面的な世界が広がります。文学を愛したシューマンらしい想像力に溢れた代表作の一つです。
幻想曲(作品17)
全3楽章からなるシューマンの代表作の一つです。「幻想曲」とは、空想の物語という意味ではなく、決まった形式にとらわれず自由な構成で書かれた作品を指します。
この作品は、ベートーヴェンへの深い敬意を込めて構想された一方で、当時結婚を許されなかったクララへの思いも重ねられていると言われています。シューマンにとってクララは、愛する人であると同時に、一人の音楽家として深く敬愛する存在でもありました。
情熱的で壮大な音楽の中には、繊細な歌心や詩的な美しさも感じられます。文学を愛したシューマンらしい想像力と、ロマン派ならではの豊かな感情が詰まった名作です。
シューマンの豆知識
クララとの結婚
シューマンとクララはお互いに惹かれ合っていましたが、クララの父・ヴィークは二人の結婚に強く反対しました。結婚への道が閉ざされる中、シューマンは一時、エルネスティーネ・フォン・フリッケンと婚約した時期もありました。しかし、婚約は解消され、その後もクララへの想いは変わることなく、二人は裁判を経て1840年に念願の結婚を果たします。
この頃に作曲された《謝肉祭》には、当時の婚約者の故郷「ASCH」を音名に置き換えたモチーフや、のちに妻になるクララ(キリアーナ)も登場します。作品には当時のシューマンを取り巻く人々や思いが音楽の中に描かれており、背景を知ることで、より一層作品を楽しむことができます。
評論家としても活躍
シューマンは作曲家・ピアニストだけでなく、音楽評論家としても活躍しました。1834年には音楽雑誌『新音楽時報(Neue Zeitschrift fur Musik)』を創刊し、多くの音楽家や作品について評論を執筆しています。
特に有名なのが、20歳のブラームスを「新しい時代を担う音楽家」と絶賛した評論『新しい道(Neue Bahnen)』です。まだ、無名だったブラームスの才能をいち早く見抜き、世に紹介したことは、音楽史に残るエピソードとして知られています。
ブラームスとの友情
23歳年下のブラームスは、若き日にシューマン夫妻を訪ね、その才能を高く評価されました。シューマンは評論「新しい道」の中でブラームスを「新しい時代を担う音楽家」と絶賛し、その存在を広く世に紹介しました。
その後、シューマンは病に倒れると、ブラームスはクララや家族を支え続け、生涯にわたって深い信頼関係を築きます。二人は師弟というよりも、音楽を通して結ばれた理解者であり、お互いを認め合う存在だったと言えるでしょう。
動画の紹介
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もっとシューマンを楽しみたい方へ
ラフマニノフによる歴史的録音
ロシアを代表する作曲家であるラフマニノフがシューマンの謝肉祭を演奏した時の音源があります。作曲家としてだけではなく、ピアニストとしても活躍していたラフマニノフ。同じロマン派の時代の作曲家が、シューマンを弾く。どう解釈したのかなど、興味深く貴重な録音です。
シューマン:謝肉祭 ショパン:ピアノ・ソナタ第2番「葬送」他 [ セルゲイ・ラフマニノフ ] 価格:1650円 |
CD
ピアノ協奏曲ならば、アルゲリッチの演奏がおすすめです。留学時代によく聴いていましたが、華やかさだけでなく、揺れ動く内面が自然に歌われていて、ワクワクしながら聴いていました。
シューマン:ピアノ協奏曲 ショパン:ピアノ協奏曲第2番 [ アルゲリッチ ロストロポーヴィチ ] 価格:1573円 |
楽譜
やはり、こちらも原典版がおすすめです。ヘンレ版からは曲集ごとの楽譜、全曲シリーズとしての楽譜も出版されています。
楽譜 (44)シューマン 子供の情景 op15 (原典版/ヘンレ社)ROBERT SCHUMANN Scenes from Childhood op. 15 Er / ヘンレー 価格:1980円 |